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#21

「麩菓子の誓い!」 赤川次郎(1985〜)『三姉妹探偵団』シリーズ,講談社文庫

三谷彩華

これは、1998年に日本テレビで放送されたドラマ「三姉妹探偵団」で出てくる台詞です。

当時小学生だった私は、ドラマ「三姉妹探偵団」に夢中で、友達とごっこ遊びで、よく「麩菓子の誓い!」をしていました。他にも、小学生がよくする遊び-例えば、「ドロケイ」で同じグループになった時などでしょうか。そんな時にもしていた記憶があります。麩菓子の誓いをやると一体感が得られ、なんだか気が引き締まるような感覚になったことを覚えています。

父子家庭の三姉妹が、出張で父親不在の時に放火で家を失う…というのが、この物語の始まりです。焼け跡からは、女性の遺体が発見され、父親に殺人容疑がかけられます。三姉妹は父親の無罪を証明するために、刑事と協力して事件を解決します。そして、その後も、父親不在の際に事件が起こり、前出の刑事とともに事件を解決していきます。「麩菓子の誓い」は、原作には出てきませんが、ドラマで三姉妹が事件解決に向けて奔走する時の円陣のようなものです。

このドラマがきっかけで、私は原作の「三姉妹探偵団」を図書館で借りて読み漁りました。おっとりしていて天然な長女の綾子、しっかり者で物怖じしない次女の夕里子、強かでケチな三女の珠美。それぞれ違う性格の姉妹たちが協力しながら繰り広げる探偵物語。三姉妹それぞれのキャラクター、ストーリーに憧れ、こんな大学生もいいな、こんな高校生になりたいな、と思いながら小・中学生時代を過ごしたものです。

日本語教育の研究をはじめて、今年で10年になります。大学院に入学してからは、専門書を読むことが増え、小説を読む機会は少なくなってしまったのですが、気合を入れたい時にふと思い出すのが、この「三姉妹探偵団」と「麩菓子の誓い」でした。

博士後期課程進学後、共同研究をする機会に恵まれるようになりました。各人が得意な部分を伸ばして、足りない部分は補い合い、1つの目標に向けて奔走するという点は、「三姉妹探偵団」に似ているところがあります。これは共同研究だけではなく、例えば、チームティーチングで行う日本語科目の業務やその他の大学業務等、そして、仕事以外でも当てはまることがたくさんあると思います。流石に、共同研究でお世話になっている方々に「麩菓子の誓い」の話をしたり、誘ったりしたことはありませんが、大変なことを乗り越えようとする時に、あんな誓いもあったなぁと思い出し、「自分のできることをやろう!」と今でも励まされています。

各人が得意な部分を伸ばして足りない部分は補い合い、目標に向けて奔走する-大変なこともありますが、その分、誰かと目標を達成した時の喜びは計り知れません。今後も、大変な時には、「三姉妹探偵団」と「麩菓子の誓い」を思い出して、乗り越えていきたいと思います。

紹介した人:みたに あやか

紹介した本の情報はこちらから(Amazon)

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