

第11回
感謝を忘れない大人
お客様: ゆみさん
テレビ:今年の母の日プレゼントには皆さんは何をあげますか。定番のカーネーションに加えて、今年はお米をプレゼントする人も多いんだとか。
プチッ)
あきら:お、お米?!
常連客:ま~今高いからね。もらったら嬉しいかも。
あきら:母の日にお米をあげるって考えたことなかったな。意外性があって面白いかも(笑)
ガラガラッ
あきら:いらっしゃいませ!
ゆみ:こんばんは~!
あきら:あ、ゆみちゃん!とっても久しぶり!!大きくなったね。5年ぶ
りくらい??
ゆみ:まま~何言ってるんですか(笑)半年ぶりくらいです(笑)
あきら:あら、そんなんだったっけね(笑)
ゆみちゃん、何飲む?
ゆみ:ん~レモンサワーをお願いします。そうですよ~、
ママがこのお店をまきこママから継いで5年も経ってないですよね(笑)
あきら:そうだった、そうだった(笑)ゆみちゃんは大学院生だっけ?
ゆみ:大学院行ってたんですけど、何とか3月に卒業しました。
あきら:お!!社会人!!就職?
ゆみ:就職…う~ん。就職…かな。でも、ちょっと変で(笑)今はベビーシッターしてます。
あきら:ベビーシッター??
ゆみちゃんずっと日本語の先生になりたいって言ってよね。なんでベビーシッター?
ゆみ:思いますよね(笑)
両親も理解してくれようとはしてるんだろうけど、娘がわからないってよく首傾げてます。日本語教育専攻で大学院まで行ったのに(笑)
大学院までで勉強したこと、研究してきたこともどこかで活きてはいると思います。
お世話する子どもは色々な背景がありますし。
私、小さい時ベビーシッターさんにすごくお世話になった記憶があるんです。
あきら:へー。保育園とかにはいかなかったってこと?
ゆみ:保育園にも0歳から通ってたんです。朝から晩まで(笑)
でも、共働きっていうのと、私の父は基本海外にいて仕事をしてて、
子育ては母一人だったので、ベビーシッターさんに助けてもらってたんです。
あきら:うんうん。
ゆみ:保育園ももちろん大好きでしたけど、私って大勢いる子どもの1人じゃないですか。
当たり前ですけど(笑)
家族も大切に育ててくれているのはもちろんわかっていたんですけど、もう少し大人からの注目が欲しいなと思っていたんですよ。寂しさというかなんというか。
その寂しさというか欲望?をかなえてくれたのがベビーシッターさんだったんです。
ず~~~っと私を見て、気にかけてくれてお世話してくれて。
あきら:何歳の話?!すごい言語化されてるけど。
ゆみ:こんなに言葉で言えるようになったのは最近です。お仕事で子どもたちと向き合う中で、過去の思い出とか気持ちを思い出すことが多くて。
当時は、もやもやと霧みたいに複雑な感情でしかなかったけど、改めて思い返してみると何だか想うことがたくさん出てきちゃって。楽しい感情も、寂しい感情もあるんです。数十年も前のことなのに、こんなに鮮明にまるで今その場にいるかのように思い出せちゃうんです。感情って不思議ですよね。
あきら:そうなのか。
ゆみ:そうなんです。ベビーシッターさんへの気持ち、よくわからないながらも、心のどこかで私も同じようになろうって思ってて。だから4月から挑戦してみたんです。
あきら:最初ベビーシッター始めたって聞いたとき、唐突に思いついたチャレンジかと思ったけど、随分前からストーリーは始まってたのね。
ゆみ:大したストーリーじゃないですけど(汗)
でも、本当に始めてよかったと思います。もちろん子どもたちと一緒に過ごす時間が楽しいって言うのはありますけど、子どもの成長を保護者の方含め、みんなで共有できる瞬間が好きです。お世話の最後に保護者の方にその日の報告をするんですけど、上手くできたことも失敗しちゃったこともお話するときに近くにいる子どもの顔ってなぜかいつもドヤ顔なんです(笑)すごいかわいいです。
あきら:ゆみちゃんは、ベビーシッターさん向いてるね。
ゆみ:そうなんでしょうか(笑)難しさも数えきれないほど感じてます。
イヤイヤ期の子どもへの対処とか…。
あきら:まだまだ始めたばかりだもん。課題にぶつかって、工夫して、失敗して、工夫して
繰り返していったら、気づいたら今よりも前に進んでるんじゃないかな。
ゆみ:ママああああーーーー(涙)
あきら:泣かないの~ほら、ハンカチ!
お世話になってるベビーシッターさんへの感謝を忘れずに頑張ってるゆみちゃんとても素敵だと思うよ。
ゆみ:ありがとうございます。いくつになっても感謝は忘れない大人になろうと思ってます。
あきら:いいこと言うわね。応援してる!
ゆみ:まま(涙)
あ!!大変!こんな時間だ!明日も朝からベビーシッターのお仕事があって。帰ります!
また来ます!
あきら:は~い!また待ってます。気を付けてね。
ガラガラッ
あきら:感謝か…。大事なのはわかってるけど忘れがちかもしれないな。
明日は…母の日。お花を贈る?お米を送る?
常連客:私だったら、娘からの元気な声が聴けるだけでも十分嬉しいよ。
あきら:そうね。今日は、感謝でも伝えてみようかな。
身近な人に感謝を忘れずに生きる大切さを思い出すママなのであった。
5月号おしまい