

第10回
"我慢”をする大人
お客様:どしゃーすさん
某月某日、あきらママは買い出しに出かけていた。
プルルルル…プルルルル…
電話のコールである。
勿論だが、誰も出ない。しばらくして、電話は留守番電話へと切り替わり、少し興奮気味の声が人気のないスナックに響き渡った。
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▷あっ、留守かぁ、留守電残しても良いかな?考えが新鮮なうちにアウトプットしておきたくて。……あきらママなら聞いてくれるかな?
▷あのね、大人になるってどういうことだろうって本気で考える機会があったの。
それで、あきらママが「大人になる」ことについて、みんなから話を聞いてたなぁ〜って思い出して!もしよかったら、ついでに私のお話も聞いてほしいかも。
▷あきらママは、"我慢"をするってどう思う?
私はね、今まで"我慢"ができるって、ある程度成熟した人間だからできることだと思ってたんだよね。
▷でも、そうじゃないかも…って気づいちゃって。あ、全部話すと長くなっちゃうし、今日は考えたことだけ話して、詳しい話はまた今度話すね!
▷本題に戻るけど……もちろん、自分の欲求をある程度制御できるのって大事だと思うの。だけど、私の場合は、対立を面倒くさがって対話を避けてた方の我慢だったんだよね。
▷私は昔から、何故か自分の実力よりも良く見られちゃうことが多くて。知らないうちに、見栄を張るようになっちゃったんだよね。んで、だんだんと実力と見栄と他者からの評価がごちゃごちゃになったモンスターになっちゃったの。だから、本当の自分を認めたり、他の人にバレたりするのが怖くなっちゃったんだよね。
▷だから、例えば「ランチを決める」とかそういう小さいことでも、話し合いの結果自分の"できなさ"が露呈して、プライドが傷つくことを怖がって、自分のために譲歩・同調してたんだって気づいたんだよね。「何でもいいよ〜うんうんそれも良いね〜」って相手に合わせることが多かったんだよね。
▷でもやっぱり、自分のありのままで、コミュニケーションしないと、相手にも失礼だなって。悪いところも勿論だけど、自分の良いところも認めて等身大でいる、そのままの自分を相手に見てもらって、生身のままで対話をして合意形成ができるって大人だな〜って最近は思うの。
▷こういう話をする自己啓発本とか正直鼻で笑ってたんだけどな〜〜。結局こういうことなのかも。ワーーッッ!
▷一方的に話しちゃってごめん!聞いてくれてありがとう!ハートマーク10個付けちゃう!!
対話だなんだって言って、独話になっちゃってるね。ごめん。今度また対話、コミュニケーション、しようね!
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ツーツーツー…
買い出しに行ったあきらママが店に帰ってくる。
ガラガラガラッ
あきら:ふー、寒い。寒い。冬になるとやっぱり大根を使った料理が人気になるよねぇ。
あれ?留守電だ。誰からだろう。
??▷あっ、留守かぁ、留守電残しても良いかな?考えが新鮮なうちにアウトプットしておきたくて。……あきらママなら聞いてくれるかな?
あきら:あ、この声は…どしゃーすさんだ。しばらく忙しくお店来れないって言ってたもんな。
実は私の今年の目標「我慢を覚える」なの、タイムリーなテーマすぎる…。
何かあったのかしら。
どしゃーすさんいつ来るのかな。聞きたい。仕込みが終わったら、電話してみよっ!
いつも以上に急いで大根の桂むきをしたあきらママであった。
1月号おしまい