第4回
大人になりきれない大人
お客様:吉田のおっちゃん
あきら:最近は夜だったら少し涼しくなってきましたね。
客A:お昼はまだまだ暑いですけどね(笑)
選手のユニフォームを手に取っています(拍手)
18年ぶりの6回目です。
あきら:お、お、お、おおおおおおお!!!!
客A:おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
???:わあああああああおおおおおおおおお!!ようやった!!!!
ばんざーーーい!ばんざーい!!
あきら:吉田のおっちゃんよかったね。
吉田:ほんまやわ~生きてる間に優勝してくれて嬉しいわ~。今夜は祝い酒や。
吉田のおっちゃんは大阪生まれ大阪育ちコッテコテのおじいさんだ。定年を機に、スナックの近くの息子さんの家に引っ越してきた。スナックには週に2回くらいのペースで通っている常連さんである。
吉田:あきちゃん!!もう一杯同じの!!
あきら:ビールですか?今日はもう3杯目ですよ。
吉田:ええねん。ええねん。優勝決まってんから。
あきら:は~い。ちょっとまっててくださいね~。
はい、どうぞ。お水も一緒に飲んでね。
吉田:ありがとうな~。いや~ほんまに幸せやわ。何年ぶりやったっけ。
あきら:18年ぶりですね。
吉田:あれから18年もたってしまったんか。あの時はまだ大阪におって…。
あきら:あーあーおっちゃん!!泣かないでください!!
はい!おしぼり!ふいてふいて!!
吉田:泣いてへんわ!!(笑)
でももう一度大阪戻りたいな。もちろんスナックがある東京もいいけど。
あきら:そうですよね。生まれ育った場所ですし。
吉田:せやねん。大阪のねじ工場の街で生まれて、そこからずうううっとおったからな。
あきら:お薬関係のお仕事でしたっけ?
なんか前にちらっと聞いたような聞いてないような…
吉田:作ってへんよ、作れるほど賢ないの(笑)
中学卒業して、すぐ就職して、ばあちゃんとであったっちゅーわけよ。
あきら:ほお。中学卒業してから働き始めたんですね。
吉田:せやで。おっちゃん勉強好きと違うしな。何より、兄弟5人もおったからお金もないしな。
あきら:ご、5人?!多いですね!!
吉田:そ~か~?当時はそれでも結構普通やったんよ。あきちゃん兄弟何人おるの?
あきら:私ひとりっ子です。5人も兄弟がいたら毎日にぎやかでいいですね。
吉田:5人もおったらうるさいだけやで。(笑)毎日誰かが喧嘩して泣いとったわ。
あきら:ちょっと私想像できないな、、、でも、楽しそう(笑)
吉田:楽しいのは間違いないな(笑)
あきら:じゃあ、おっちゃんは中学校卒業の15歳?くらいから働いて一人で暮らしてたの?
吉田:いやいや、働き始めてもしばらくは家族と住んで、ばあちゃんと結婚するタイミングで引っ越したんや。
あきら:何歳の時?
吉田:にじゅう…さん?よん?もう昔すぎて忘れたわ(笑)
でも、今のあきちゃんくらいの時かな。うん、たしかそうだった。
あきら:わ、私と同じくらい?!
吉田:せやで(笑)
昔は就職も結婚も早かってんで。知らんけど。
あきら:いや、知らんのかい!!(笑)
おっちゃん私より大人になるの早いですね。
吉田:大人???
あきちゃんにとって大人ってなんや?
あきら:自分でお金稼いで好きな人と結婚して…それが大人ですかね…。
吉田:興味深いな~おっちゃんはね、結婚は別にどっちゃでもええ思ってんねん。
したい人がおったらしたらええし、せーへんくても大人になれるんやで。
幸せにもなれるしな。
あきら:うんうん。
吉田:でも、自分でお金稼いで自立した生活すんのは大事やな。それまで、親がどんな思いで働いて、自分らを育ててきてくれたんかわかるようにならなあかんと思うわ。
あきら:たしかに。
吉田:んで、おっちゃんはな、「自分で自分の面倒を見れる人」が大人や思うわ。
金銭面だけじゃなくて、人間関係を良好に築くとか、家事も含めてちゃんとできる人。
あきら:確かに、、、納得。おっちゃんいいこと言いますね。
さっすが大人~~♪♪
吉田:せやろ???(笑)
っていいたいとこやけど、おっちゃんな、まだ大人とちゃうねん(笑)
あきら:えぇ?!
吉田:ばあちゃんがおらんくなってから気ぃついたんやけどな、
おっちゃん家のことよーせーへんねん。料理なんてもう全然や。
あきら:ほーー。
吉田:実家では、おかんがやってくれて。結婚したら、ばあちゃんがやってくれて。
掃除も洗濯も料理もアイロンも勝手にできてくるもんや勘違いしとってん。
あきら:家事すごい大変ですよね。
吉田:ほんまそれやんな。これまではそのことにも全然気づかんかってん。
だからおっちゃんは大人じゃなくて、子どもです~(笑)
感謝してもしきれんやんな、もうほんま頭上がらんわ。
あきら:そういうことだったんですね(笑)
吉田:なんか色々思い出したらなんか泣きそうなってきたわ。あきちゃんハイボール!!!
あきら:えぇ??まだ飲むんですか???(笑)
吉田:ええのええの祝い酒や。
六甲おろ~しに 颯爽と~~~♪蒼天かける日輪の~~~~~♪
お客さん全員の「六甲おろし」大熱唱は、朝日が昇るまで東京の街に響き続けました。
10月号おしまい