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しんちゃんの教師物語(9)

東京で会社勤めを始めたしんちゃんですが、

少し仕事に慣れ始めると、大学のゼミで接していたようにいろいろな外国人との交流がしたくなってきました。

本当にその交流が純粋に楽しかったのです。

ただ、その当時は携帯もスマホもなく、情報の入手の仕方は今とは違っていました。

ある週末、会社の寮の食堂で新聞を読んでいた時にふと日本語ボランティアの記事が目にとまりました。

「あっ、ここに行けば外国人との交流ができるかもしれない。きっと楽しいだろう!」

しんちゃんは直感的にそう感じました。

それがしんちゃんがもう少し本格的に日本語教育に関わることになったきっかけです。

(しんちゃんが一番最初に日本語教育に関わることになったきっかけ、

王さんの日本語チューターに関しては教師物語(2)をお読みください〜)

しんちゃんはそれまでに日本語を教えたことはありませんでした。

しかし、そんなことはおかまいなし。

しんちゃんは翌週にはそのボランティア日本語教室に姿を現していました。

会社寮から片道1時間半かけて電車を乗り継ぎ毎週土曜日に通っていました。

そのボランティア教室は日本人も外国人も本当にいろんな人がいて、

そこでしんちゃんは本当にたくさんの人と知り合いになりました。

(一緒に食事に行ったり、その人の国に遊びに行って家に泊めてもらったこともあります!)

ボランティア教室にはいろいろな日本語の教科書が置いてありました。

ただ、しんちゃんは日本語に関してあまりにも知らないことが多かったので、

自分が外国人に日本語を教えると言うよりも、

外国人といっしょに教科書を見て日本語を発見していったという方が正しい気がします。

いっしょに勉強した人の中には最初から打ち解けいっしょに学べる人もいましたが、

小さい子ども、小中学生や内気な性格の人はなかなか心を開いてくれない場合もありました。

例えば、数字やあいさつなどの発音などを一緒に勉強している時、うまく言えないとそれだけでしゅんとなってしまうのです。

そんなときにしんちゃんが見つけ、今も使用している黄金則があります。

それは「あなたの言葉ではなんと言うの?」と聞くことです。

これは本当に魔法の言葉でした。

どんなにしゅんとしてしまっている人でも、急に声が大きくなり、表情が明るくなるのです。

そして、私がその言葉をうまく言えないとケラケラ笑い出したりもするのです。

その後に私が日本語で同じことを繰り返しても、お互い習い合い笑い合う関係なので関係性が全く違ってきます。

そうやって覚えたタガログ語のイサ、ダラワ、タトロ(1,2,3)は一生忘れない言葉です。

それと同じ頃、会社では福利厚生の一環として英会話の先生が職場に来てクラスをしてくれていました。

クラスは週に1、2回だったかと思いますが、

4月の初めは大きかったクラスもみんなの仕事が忙しくなってくると一人抜け二人抜けで、

クラスはしんちゃん一人ということもよくありました。

幸いしんちゃんの部署は急成長している部署だったので人員が十分にいてほとんど定時で仕事が終わっていたのです。

先生と二人のときは本当にいろんなおしゃべりをしました。

先生はカリフォルニア出身の日系人で以前のエピソード(教師物語(5))でも書いたノアと似たような経験をされていました。(厳密にはノアと知り合ったのはこの先生より後ですが…)先生の人生談は本当に興味深いものでした。

その頃しんちゃんはNHKのドラマで学ぶ英会話のような番組を見ていて(確か「フルハウス」というアメリカのドラマ)、

それを録画したビデオを授業に持って行ってわからないところを聞いたりしていました。

その時に聞いた言葉は、決して教科書には出てこないような言葉ばかり

(英語にはPumpkin, sweetheart, sweetie, など親子やパートナーを呼び合う呼称が山ほどあり、

どれをどういう時にだれに使うのかなども先生に聞いた記憶があります)でしたが、

それを習うことが楽しいだけでなく、コミュニケーションそのものを楽しんでいたような気がします。

人は何か目的があってコミュニケーションする場合もありますが、

コミュニケーションそのものを楽しむためにコミュニケーションするという場合もありますよね。

その頃も、今も、しんちゃんは新しい人とも長く知っている人ともコミュニケーションそのものを楽しんでいるのだと思います。人間大好き!

次は会社時代にひょんなことからペンパルになり訪問することになったフィリピンへの旅です〜

(執筆後記)

これから学会で、今はベトナムに行き飛行機の中です。

はじめての国なので何が起こるのか、今からワクワクしています!

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