しんちゃんの教師物語(4)
大学4年生の夏、アメリカのニューヨーク州のロングアイランドのとある街(ビーチのすぐそば!)で
ホームステイをしているしんちゃんです。
当たり前について特によく考えるようになったのは、実家を離れ一人暮らしをするようになった大学生の頃ですが、
この10日間のアメリカ滞在でもそんな体験で満載でした。
しんちゃんはなぜかその当時、アメリカ人はすべて日曜日に教会に行くと思いこんでいました。
多分、映画とかメディアの影響でしょうか?
そして、週末がやってきて、ホストであるチャーリーとドナに「日曜日に教会に行かないの?」と聞くと、
二人は顔を見合わせて、ちょっと笑ってしんちゃんにこう言ったのです。
日曜日に教会に行く人もいるけど、私たちは何か大きな行事のある時にしかいかないと…
そこで、「え〜、アメリカ人はみんな教会に行くのだと思ってました」と言ったら、
ドナが食事中にちょっと吹き出しそうになっていました。
しんちゃんはその顔を今でもよく覚えています。
ほんとに「え〜、あなたどうしてそんなふうに思っているの〜?」という目がまんまるで漫画のような顔でした。
ほかにも、夕食にもびっくりしました。
晩御飯を食べましょうとテーブルの上に大きなツナサラダが載せられていました。
しんちゃんはこれは前菜のようなものでその後に何か出てくるのだと勝手に思い込んで、
ほんの少ししか手をつけませんでした。サラダだけが夕食なんてありえないと信じて疑わなかったのです。
ドナもチャーリーもそんな少ししか食べないのか、もっと食べないのかと何度も聞いてきたのですが、丁重に断りました。
が、その後は何も出てこず!その晩はお腹がすいてすいてしょうがありませんでした。
次の日の晩御飯はナチョスを食べましょうと言って、電子レンジでチンをしただけの料理がテーブルに乗せられました。
しんちゃんは今度はこれだけだということがわかっていたので、たくさん食べましたが、
なんだか前菜のような料理で晩御飯だけだったので、寂しい気持ちになったことを覚えています。
でも、これがアメリカの典型的家庭のディナーというわけでもなく、翌日授業でクラスメートにあって食事の話をすると、
本当に何をどう食べているかは家庭によって全く違うようでした。
うちは豪勢なディナーだったとか、うちはテイクアウトのチャイニーズだったとか…
ホストファミリーは人種や家族構成も経済階級も全く違っていて、
唯一の共通点はその辺りに住んでいること、
また、何らかの事情で日本からの学生をホストしたいと思っていることぐらいでした。
たった10日の滞在なのに、滞在中、ある1日はまる24時間寝たこともあります。
これにはさすがに自分でもびっくりしましたが、
一生懸命コミュニケーションを取ろうと毎日がんばり過ぎて、疲れが出たのだと思います。
チャーリーとドナに全然部屋から出てこないので死んでいるんじゃないかと思ってびっくりしたけど、
寝ているようだったからそっとしておいたと次の日に言われました。
口から生まれたようなおしゃべりしんちゃんは、英語では何を言うにも一言一言文を考えてから言わなければならず、
自分でも普段日本語ではこんなにも自動的に文を作って話しているのかとびっくりしたほどです(笑)。
ほかにもう一つこの滞在で感じたことがあります。
人がおおらかで、ニコニコしていて、空の大きいこんな国にいつか住んでみたいなと…
そして、自分の直感でなんとなくそこに住むんじゃないかとも思っていました。
そんな直感は当たり、実際4年後にアメリカに住むことになり、
6年後にはこの時訪れたコロンビア大学の学生になっていたのです。
今でも空のひろ〜いアメリカのハイウェイを運転していると、その頃をふと思い出します。
そして、いやあ自分の人生を生きているなあと感じるのです。そして、今でも自分の直感を大切にしています。
つづく
(執筆後記)
このホームステイの写真をここに載せようと思い、いろいろ探したのですが、見つかりませんでした。
その時の写真のしんちゃんは自分でもびっくりするぐらいの笑顔で目がキラキラしていて、それは自分でもびっくりでした。
人の表情というのは言葉よりもいろいろなことを物語っていますね(こわっ!)。
大学時代に私はオーケストラでフレンチホルンを吹いていたのですが、
このアメリカ旅行の後に吹き方が変わったといろんな人に言われました。
でも、これは本当かなあとも思いました。
きっとアメリカ帰りだからみんなの見方の方が変わったんじゃないかと…
でも、真偽は分からずです。