
ひつじのおにく
3皿目
家族ってなんだろう
前回は、ずっと気になっていた某ラム料理専門店でラム料理コースを堪能した白石と黒崎。今回は、ジンギスカンの本場、北海道から関東圏に進出したことで有名なジンギスカン屋で、とことんひつじ肉を食べ尽くすことにしました。
・・・・・4種盛のセットを頼み、店員さんに焼いてもらう・・・・・
黒崎:お肉届きましたね〜。どのお肉も美味しそうですねぇ〜。
白石:ね!そういえば、この店って北海道のお店なんだよね。地元が北海道に近いんだけど、実家では結構、庭でバーベキューしてたんだよねー。北海道では一家に一台ジンギスカン焼くやつがあるって噂で聞いたよ。
黒崎:えー!そうなんですね!?なんか家族団らんって感じがして良いですねぇ。
白石:東京のほうだと、さすがに庭でバーベキューとかしないよね・・・?
黒崎:住宅街とかだと、匂いとか流石に無理そうですよね。
白石:だよねー。黒崎さん、実家暮らしだっけ?バーベキューとはいわなくても、家族みんなでよく食事してる?
黒崎:しますね。家族仲は良い方ではあるので、みんなが集まれるのであれば必ずみんなで食事を取りますね。外食も行きます!
白石:いいねー。私はもう家族全員で食事とか10年以上ない気がする。
黒崎:家族も色々ですもんねぇ。
・・・・・ひたすら肉を焼く。野菜も焼く。そして食う。・・・・・
黒崎:そういえば、家族の形でクローバーファミリーっていうのがあるの、知っていましたか?
白石:え、知らない。どんなの?(もぐもぐ)あ、ねえ、肩ロースとショルダーって何が違うの?どっちも美味しくない?
黒崎:肩近いロースの部分か、ガチの肩か・・・ってことですかね???えっと、どっちも美味しいです!んで、クローバーファミリーは、家族の形態で、3〜4人の大人がひとつの家に集まって子どもを育てる家族みたいですよ!
白石:へ~!なんか、昔あったフルハウスってドラマみたいだね。
黒崎:確かに、言われてみれば笑・・・あ、前にクローバーファミリーについて母に話したことがあって。そうしたら、母から「血がつながってないと愛情はわかない」って言われてしまって、家族ってなんだろうって思ったことがあるんですよね。
白石:えぇー。愛情があるのは、血がつながっているからなの?私そのものを愛してるわけじゃないの?って、子どもとしては思っちゃわない?
黒崎:そうですね、言われた時は衝撃が大きかったですね。私と母が血筋っていう制度?でつながってなければ、私は母から愛してもらえていなかったのか・・・とか。今はそこまで母は考えてなかっただろうと気にしてはいないんですけどね。
白石:うーん。でも、制度だけじゃ家族は成り立たない気はする。私の実家も制度的には繋がってるはずだけど、ずっと帰ってないし、家族としては崩壊している気がするもん。
黒崎:それこそ、家族の中でも母親と父親は血がつながっていないけれども、「家族」って呼びますよね。白石さんは血筋以外で、家族と呼べる人っていますか?
白石:私が家族って呼べる人は、今は夫だけかな。親子と家族ってまた違う単位だよねー。
黒崎:そうかもしれないですね。親子よりも家族の方が指す対象が広い気がしますね。
白石:家族って呼べるには、機能的な何かがあるのかな?私、結婚前は友達5~6人で一軒家に住んでたんだけど、実家より家族って感じしてたんだよね。
黒崎:お〜シェアハウスですか?
白石:まあそんな感じかな?結婚してその家は出たんだけど、夫と住んでる家と近かったから、実家帰るねって言って結婚後もその家によく遊びに行ってたよ。行って何するわけでもなくて、だらだらするだけだったりするんだけど・・・。
黒崎:家族の前だと気を許しているので、ついつい甘えちゃったりしますよね。
白石:帰りたい、って思えたのは、それもあるかも。夫に対する甘えとはまた違ったんだよね。住んでた時も、みんなに世話されたり、私も時々誰かをケアしたり、甘え合ってたかな。
・・・・・野菜を追加。タンと謎の部位を追加。そして、焼く。・・・・・
黒崎:ここの謎の部位、はじめて聞いたし食べましたね。なんか、トロっとしているような、ムニっとしているような・・・濃厚で美味しいです。
白石:ね、謎の触感、謎のおいしさ・・・!感動的・・・!
黒崎:結婚後もシェアハウスによく遊びに行っていたって先ほど言ってましたけど、やっぱり定期的に「あー帰りたいなー」ってなりますか?
白石:そうだねー。その家、実は一昨年解散しちゃって、建物も解体されちゃって、今はもうないんだけど・・・。本当の実家には帰りたいってあまり思わないけど、あの家には、もうないんだけど、あったら帰りたいなーって思うし、なくなっちゃったことが寂しいなって時々思うよ。
黒崎:そうなんですね・・・。本当の実家と、シェアハウスに対する意味づけの違いって、白石さん的にはなんだと思いますか?色々あるとは思いますが、過ごしやすさとかですか?
白石:なんだろねー。過ごしやすさとか、安心感とかが違うのかな?否定的な親だったから、実家にはあんまり帰りたくないのかも。なんか、これは夫もそうだし、みんなで住んでた家もそうだったと思うんだけど、同じ空間にいても、お互い全然別のことやってもいいのが楽だったり、でも時々一緒に何かしたり、ゆるっと素の自分に”帰れる”感じがいいのかなー。
黒崎:外では出せない素の自分とか弱い部分を出せたり、ほどよく無責任でいられたりするのも、家族のみの空間ならではですよねぇ。だからこそ、仕事中に「お家に帰りたいなー」って思っちゃったりするのかもですね笑
白石:制度的な家族じゃなくても、家族って思える何かがあるよね。ただのチームともまた違うだろうし・・・。仕事のチームだとあんまり無責任だったり、素の自分丸出しだったりってできないよね。・・・できる人もいなくはなさそうだけど。
黒崎:家族はチームだなんてたまに聞きますけれど、やはり違いそうですね。チームから家族になるというと・・・大きなプロジェクトをみんなでがんばって、そこそこお互い弱い部分がばれていて、そこを互いにサポートしている関係性になると家族・・・ですかね?
白石:チームのその先に、私たちもう家族だね、っていうのは、ありそう。
黒崎:あっ。ラストオーダーみたいですよ。このレモン冷麺、シメに良さそうですね。
・・・・・シメの冷麺を注文。人気店だから、ラストオーダーが早い。・・・・・
白石:黒崎さんは、制度上の家族以外に、家族って呼べる人たちっている?
黒崎:うーん・・・。それこそ、フラメンコの同期とかですかね?大学内では気張ってるんですが、部室やダンススタジオに行くと、それが一気に解放されて、友達と素の自分でいられるというか・・・。一緒に練習して、部活終わってご飯食べたり一緒に帰ったりする時、「家族だな〜」みたいなそんな感情にはなりましたね。
白石:へ~、楽しそう!青春って感じもする!でもそれって、先輩とか後輩は含まれてない感じ?
黒崎:たしかに、普段は先輩後輩は含まれていないですが、舞台が近い練習の時とか本番前後は「家族〜!」っていう気持ちになった時もありますね。不思議です笑
白石:一時的な家族っていうのもあるもんなんだね。
黒崎:もしかしたら、同じ経験や感情、空間を共有しているから〜というのも1つの要因としてありそうですね。
白石:あ~、一体感っていうのかな?
黒崎:バンドマンがライブで「俺たちは家族だ!」って言ったら、知らない人同士でもファンはみんな「ウォーーー!!!」ってなりますよね。
白石:一体感だ。笑 しかも、たぶん何かしら解放された素の自分がそこにいる。なんか、自分を承認されている感じがするよね?「いつでも帰ってこい!俺たちがここにいる!」的なMCもあるし。
黒崎:部活でも、シェアハウスでも、ライブ会場でも、どんな自分であっても相手は受け入れてくれるし、自分も相手を受け入れるという了解がありそうですね。その安心感が「家族だ」、「自分の帰る場所だ」って思わせてくれるのかもしれませんね。
白石:喧嘩したり、叱られたり、ダメな部分を見せたりっていうのも、きっとその、拒絶はされないだろうっていう安心感がないとできないよね。
黒崎:なんとなく、「家族」は空間や場の共有というのが主なのかなとは思ってたのですが、今の白石さんの話を聞いて、人に対する気持ちの持ちようや、人との関係性のあり方も「家族」と思うかどうかに大きく関わってきそうだと思いました。
白石:関係性とかも考えると、家族の範囲って同じ家族のメンバーでも違う可能性あるかな?各自が自分を中心に、円を作ってるというか・・・。
黒崎:同心円状!私の中では、家族の図式?って複数の人間をまとめて丸で囲っているというイメージだったのですが、なんか変わったかもしれません。個人を中心とした同心円状の関係性が線でつながっているイメージになったというか・・・。なんか難しいですけど。
白石:羊もさー、めっちゃ集団生活だけど、全員家族!ってわけじゃなくて、家族って言える関係の羊もいれば、近所のおじさんくらいの関係の羊もいたりするのかなー。
黒崎:なんか想像してみると可愛いですね。羊にも関係性の濃淡はあるのでしょうか・・・?近所のおじさんといえば、近所付き合いでも「家族同然です」って言っているケースもたまに見ますよね。あれは、やはり白石さんが先ほど話していた「ケアされる・する」の違いなんでしょうか。
白石:そう考えると、羊の群れはビックファミリーの可能性もあるね。
今日のシメ
家族って、自分という存在を認め合う関係性のまとまりみたいな感じ。ほどよく無責任で、でも必要な時はケアし合う。別々のことをしていても、おいしいものとか経験とかを共有し合える。いいところだけじゃなくて悪いところを見せても、拒絶されることはないっていう安心感がある・・・のが、「家族」なのかも?
今回、白石と黒崎は北海道発の人気ジンギスカン専門店で、ジンギスカンを満喫しました。
北の国では焼いた肉を囲むことが家族の団欒の1つである話を出発点に、二人は制度に限らない「家族」とは何かについて語り合いました。議論の末、二人は「家族」の多様さを知り、その複雑さや繊細さに気づいたのでした。
みなさんにとっての「家族」はどんな存在ですか?何が「家族」を「家族」として成り立たせているのでしょうか?